今年の夏は、各地で豪雨があったり、相変わらず地震があったり…。日本中の火山活動も、なんだか不安ですね。
知り合いの月山の山伏修行をされている方が、「日本は龍が暴れる時代に入った!」とおっしゃっていたのをふと思い出しました。自然の流れは、何が起こるかわかりませんが、どのような状況でも、大切なことを忘れないで未来に向かって「今」を生きていきたいと心から思ったりしています。
さて、前回から改めて私の専門でもある「主体的に生きる自立力」の育て方に入っていますが、今回から少し詳しくお伝えしたいと思います。
■自立を育てる習慣(自立型支援方法)NO1
「人はいつも最善を選択している」という前提で、人と関り続ける。
人は、どのような場合も「その人にとっての最善の行動」を選択しています。結果的に失敗だったとしても、その行動を選択したときは、これが一番良い方法だと思っています。たとえば、私たちが集団で仕事をするとき、誰かの行動によって、何かうまくいかない状況が起こると、「あの人が間違ったことをした」と責めたくなります。しかし当人は、そのとき「うまくいく」と思って行動していたはずです。
人は、ものの善悪や法律的な良し悪しだけではなく、何らかの理由(潜在的な理由や、顕在的な理由)で物事を選択し、行動しています。
よりよい人間関係を築くために、自立型支援方法では、相手の「ここに至るまでの選択」を否定せず、相手を受容して関わります。
「理解できない」「信じられない」と思っていたのを、「事情があったのかもしれない。この人なりのやり方なのだろう」と一旦受け入れる。お互いが、対立する心の位置から、一緒に未来を見る隣同士の心の位置に変えて関わることから始めることが望ましいでしょう。
【ポイント】人間関係構築の流れ
1.その人と人間関係を築くことを改めて自覚、選択する。
2.その人は、「今まで最善の選択をしてきた」と受け入れる。
3.信頼関係が構築され、心を開いてもらえる。
4.改善のための話し合いや、支援がスムーズにできる。
【エピソード】「私が正しい!」からシフトする
あるセミナーで、40歳くらいの男性マネジャーが愚痴をこぼしました。「私は正しいことを言っているのに、メンバーは私を理解してくれない。明らかに相手が間違っている。この組織には能力のある人が少なくてイヤになる」。よくあるお話です。きっとこの人は間違っていないでしょう。相手が間違っているのかもしれません。しかし、相手も何十年という人生の自分の経験や知識、さまざまなことから「今」に至っています。相手を正すために「間違っている」と言うことは簡単ですが、それでは前に進めません。
セミナーの回を重ねるうちに、彼は過去にあった、ある経験を思い出しました。「人はいつも最善を選択している、という前提で人と関り続ける」をあのとき上司にしてもらっていたら…。
今の組織に入る前、彼は大企業に勤めていました。入社10年目のあるとき、大きなミスを犯し、上司からとても責められたそうです。これが原因で昇進が遅れ、居づらくなり、結局、会社を退職したという経験がありました。
「誰もミスをしたくてしたわけではない…」
仲のよい同僚に、その頃言い続けていた言葉です。
その時の上司が、たとえ大きなミスでも、自分を否定せず受け入れ、そこから支援してくれていたら会社を辞めることもなく、未来に向ってやる気が出ていたかもしれない。そう気づいた彼に、変化が現れました。その後、彼はメンバー1人ひとりを尊重し、丁寧に関わることを決めました。最近では、メンバーが彼の意見をしっかり聴いてくれるようになり、みんなで改善のための話し合いができるようになってきたそうです。(参考資料プロコンビジネスノート『自立型支援方法』)
●「自立した人」とは
一人ひとりが自分で考え、壁を乗り切る力を身につけていること。何か問題が生じたとき、他人への責任転嫁(他責)ではなく、つねに当事者意識を持ってあたれること。
上記のような自立した人を育てるには、関わる側の相手と向き合うスタンスが大きく影響するのではないでしょうか。
相手をすべて否定して関わるのは簡単です。しかし、頭から否定し責めてみたところで、相手の本音はなかなか聞こえてくる状況にはなりません。「人」と「行動」を区別し、行動は修正すべきものですが、人は受け入れられるように…。
私たちも喜怒哀楽のある人間ですが、自分の作り出したい状況を考えて、自己管理を少しでも進めて行きたいものですね。
次回は、自立を育てる習慣NO2に進みましょう